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回想・その7

均整法の先生のところに通い詰めて2年目だったかな。
ある日、
「ちょっと出張に、行ってきて」

といきなり云われ、
「はい、どこですか?」

住所を書いた紙を提示され、
「この病院」

ん…病院、といきなり何の予備情報もなく云われ、少し引き気味の僕に、
「ここに〇〇さんという方がいるから」
とまあ、ほぼほぼこれだけのやり取りでそのまま出張施術に。

病院に着いて中に入る…その時「白い巨塔」というドラマの一コマが、なぜか思い出されました😅。
待機されていたご家族の方にご挨拶をして、早速病室に。

…血管や消化管、尿管、胸腔…何本ものカテーテルを挿入された状態の老女が、ベッドに横になっておられました。
「この状態で施術か…」と、途方に暮れている僕に、涙ながらに「〇〇を改善してほしい」と話されるご家族。
その様子を見て、「よし!なんとかやってみよう」と決意したのでした。

その症状、改善したんですけどね。
ご家族の皆様にも、とても喜んでいただきました。
でも、ですね。
ここからが、この話で一番印象深い思い出なんですが…

改善したのも束の間、看護師さんが数名来来ました。
たぶん時間制で施す治療は決まっているのだと思いますが、処置を施していくんですよね。
そうすると、いま施術で楽になったはずのその方の様子が、あっという間にそれ以前に戻っていくんです。。。
今となってはそりゃそうだ、そうなるよと思いますが、当時はなぜ様子も見ずに処置していくのか、なかなか理解に苦しむところでした。
さっきまでハァ…、ハァ…、と肩で息をしていた人が静かな呼吸をしているのに。

「なるほど、出張の狙いはコレなんだな…」
医療の現実と、現代日本における手技施術の置かれた現実、その2つの現実を同時に体験し得た貴重な機会だったなと、振り返ってみても思います。

ご家族からは、その後お礼の手紙などをいただきました。
そういう意味で仕事は果たしたワケですが…。

今でも時折思い出す、デビュー前の貴重な体験、でした。

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