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身体的な緊張と歪みについて

昨今の整体、ほか様々なボディワーク、トリートメントなどの分野において、“歪み”というトピックは最早外せないものとなっているように感じます。

僕が活動し始めた頃には、“歪み”はおろか、“整体”という言葉すら一般には浸透していませんでした。
ヨーガ、ピラティスほか様々なエクササイズ、各種スポーツ、バレエ、ダンス、武術、格闘技…各分野で故障、ケガなどの際に調整し改善するスキルとして、また体軸を形成する、筋出力を上げる…といった目的などから、いわゆる“歪み”を改善する技術として定着していった、という一面もあるでしょうか。
昨今の様々な“整体”でも、この“歪み”というトピックについてはそれぞれ詳しく論じていることでしょう。
人体の不調を構造や機能から眺めてみた場合に、神経筋骨格系の様相は、決して無視はできないからです。

『TamuraTech Japan』では、1996年の独立当時から現在においても「歪み」という現象を一つの手掛かりとして、人間における様々な問題、悩み、身体的精神的な不具合について取り組んでいます。

さて、
この「歪み」について、身体均整法では「傾斜圧」、野口整体では「偏り疲労」という言葉を使い表現しています。
どちらも平たくいえば「歪み」のことではあるのですが、その観方、発想の根本には違いがあります。
均整法では、

「傾斜圧とは、神経支配によって支えられたある局所の運動系の生理的あるいは人為的な軽度ないし強度の収縮、弛緩現象である」

上記は、身体均整法創始者・亀井進師範(故人)のしたためられた定義、といえるかと思いますが、こうした発想の元に…

1、異常傾斜圧
2、くつろぎ傾斜圧
3、防止傾斜圧
4、防衛傾斜圧
5、鍛錬傾斜圧
6、探知傾斜圧
7、応用傾斜圧

と、7種類に「傾斜圧」を分類されています。
ひとくちに「傾斜圧=歪み」といっても、その発生経路、意味、浅さ深さなどなど、いろいろあるのです。
この7つそれぞれ、なかなかに濃いです。

そして、「12種体型論」でいう12の姿型は、「運動系の傾斜圧姿型の代名詞であり、傾斜圧による体位に及ぼす弊害、体位向上の新開拓したと云うのである」と、力説されています。

また、野口整体の「体癖」では、
「個人の身体運動はその個有な偏り運動に支えられています。そしてその偏り運動は、この個有の運動焦点の感受性が過敏であるために生じています。」
「どんな動作をしてもその個有の運動の焦点が反応するのですから、疲労の中心もここにあるといって差し支えありません。従って無意的にとる休養姿勢も、その偏り運動の焦点に起こっている不随意的緊張を弛緩させるような姿勢をとるのです。」(「体癖」より)

この論で云うと、いわゆる寝相なども偏り疲労解消、歪みの修正のための身体運動にあたります。
疲労の中心となるその部位を、緩めようとして動くのだ、と。

いづれにしても、
単純に「まっすぐでない=歪み」と云う図式では少なくともなくて、むしろ「まっすぐ」「バランスのよい」状態もまた一つの「歪み」として観る感性が、ここでは必要とされます。

なかなか、ここが理解しにくいところかもですが…ということで。


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